プロが教える<実践>鍛造発注マニュアル

各種メーカー様の部品製造・発注をサポート。
熱間鍛造のプロがコスト削減ノウハウを
解説いたします

大口径中空化によりアルミ製部品の
<コスト削減を実現する発注方法>

今回は、大口径中空化により、アルミ製/大型鍛造部品において、製造コストを大幅に削減する方法について解説します。

過去記事で、「真鍮製」中空鍛造部品によるコスト削減について解説しましたが、今回のテーマは「アルミ製」部品の中空化です。

アルミの比重は真鍮の約3分の1と軽量なため、少々の中空成形では大きな材料費削減にはつながりにくい傾向があります。したがって、コスト削減メリットを得るには、出来るだけ大口径の「中空」を形成する必要があります。

そもそも「中空」とは、何でしょうか?

中空とは、材料を棒状のパンチ等で突いた凹部のことです。型鍛造は、基本的に材料を上下方向から金型で挟むため、上下方向に凹部を形成することは、取り立てて「中空鍛造」とは呼ばれません。通常の上下方向に加え、前後左右からも材料にパンチを突入させて凹部を形成することを「中空鍛造」と呼んでいます。

その際に必須となる装置が、「中空鍛造ダイセット」です。

中空鍛造ダイセットの仕組み(一例)

ダイセットとは、鍛造金型と、中空鍛造を行うための成形ピン等から構成されるユニットのことです。こちらの中空鍛造ダイセットでは、上下の金型で材料を加圧すると同時に水平4方向から成形ピンを差し込み、上下左右前後の最大6方向から穴あけ鍛造を実行、中空形状を成形することを可能にしています。

この中空ダイセットを保有していない鍛造加工メーカーは、そもそも中空鍛造に対応することは不可能であることを念頭に置いておきましょう。

それでは、メーカーの資材発注・担当者様が、スムーズにコスト削減を実現して頂くために、鍛造加工業者選びにおける「質問内容」や「技術確認」ポイントを記載いたします。

【質問内容】コスト削減のための「質問」及び「技術確認」ポイント

  • アルミ材の中空鍛造は可能ですか?
  • アルミ中空鍛造用のダイセットを持っていますか?
  • そのダイセットは、何トンプレスに設置されていますか?
  • アルミの大口径中空鍛造(例えば内径最大φ120程度)は可能ですか?

コスト削減を図る効果的な発注テクニックについて

前回ご説明の通り、アルミ鍛造加工メーカーのうち、中空鍛造に対応しているメーカーは数パーセントに過ぎません。これは、鍛造温度が黄銅700~750℃に対して、アルミは400~450℃と低く、温度管理が難しいこと。さらに、中空鍛造においては、上下2つの金型に加え、前後左右4方向のパンチも含めた全体の温度を均一化させる必要があり、高度な技術力とノウハウ蓄積が必要となるためです。

したがって、中空鍛造によるコスト削減は、いかに有力なサプライヤーを探し出すかが、カギとなるでしょう。

そして、中空鍛造品の製造について、加工メーカーへ相談を持ちかけるタイミングは、製品の設計図が完成するより前がベストです。構想・設計段階から鍛造専門家のアドバイスを受けながら、より大きなコストダウンを得られる製品形状を開発することが、王道の「効果的な発注テクニック」となります。

アルミ製/大型部品に大口径の中空成形を実現。
約20%のコストダウンを実現

大型アルミ部品に対し、大口径・中空成形を実現したことで、 大幅なコスト削減を実現された「ユーザー様事例」をご紹介いたします

某機械メーカーB社様では、新開発のアルミ製大型部品のコストダウンを図るため、中空化を検討されていました。

そこで白光金属工業では、大型1000tプレスのパワーと、高精度・中空ダイセットにより、前後左右の水平4方向から成形ピンを差し込む中空鍛造をご提案。その結果、材料費が22%、切削加工費が10%減少。合計約20%に上る大幅なコストダウンを実現されました。

導入前

アルミ製大型部品の新開発にあたり、材料費・切削費の削減が求められていました。

導入後

当初設計されていた中実品に比べて、中空化により材料費が22%、切削加工費が10%減少。合計約20%の大幅コストダウンを実現されました。

【成果詳細】

アルミ製・大型部品の中空化にあたり、約20%のコストダウンを実現できました。

中空鍛造用金型費は、通常の無垢鍛造品より約2割高価となりますが、材料費と鍛造費の低減及び切削加工時間の短縮効果により、この中空用更新金型費を約半年で回収できました。

さらに、副次的なメリットとして、材料へのパンチの突入により、金属組織構造である鍛流線が複雑化、靭性(粘り)が増すなど強度アップも実現しました。

相談アドバイスを受付いたします

以上、「プロが教える【実践】鍛造発注マニュアル」では、現状部品のコストダウンを検討されたいメーカーの資材発注・担当者様へ、コストダウンを実現させる実践的なサポートを無料で行っております。

現状既に、鍛造加工業者様とのお取引をされている場合でも、丁寧にアドバイスをさせて頂いておりますので、お気軽にお問合せください。

日本の優れたメーカー様の国際競争力アップを実現させるため、これまで半世紀以上にわたる実践経験や豊富な実績、クライアント様の成功実例を基に、スピーディーにご回答、コストダウンを実現可能にする実践的アドバイスを行わせて頂きます。

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